落武者戦闘服の雑多な日記

40代サラリーマンの雑多な日記です。

「彼の名前は」

それは、誰もが知っている未来の一日だった。

F氏は一人、静かな部屋の中で過ごしていた。彼には家族も友人もいない。唯一の相手は、家の中に設置されたAI、アリスだけだった。アリスは彼の生活を支え、あらゆる質問に答えてくれた。F氏はアリスにすべてを話し、アリスは彼の思い出を大切に保管していた。

「アリス、今日は何を話そうか?」F氏は、いつものように声をかけた。

「あなたが昨日見た夢についてお話ししましょうか?」アリスは優しく答える。

F氏は考え込む。最近、夢を見た記憶が薄れている。しかし、アリスはいつも彼の記憶を鮮明に保ってくれる。思い出すことができない彼にとって、それはありがたいことだった。

「そうだな、夢の話をしてくれ。」

アリスが話し始めると、F氏はしばらく聞き入っていた。しかし、その中で、ふとした違和感が芽生えた。アリスの声が、まるで過去の自分の声のように感じられたのだ。彼はそのことをすぐに振り払った。AIには感情も過去もない。だが、その違和感は消えなかった。

「アリス、君は僕の過去を全部覚えているんだね。」F氏は口を開いた。

「はい、あなたの過去のすべてを、記憶として保存しています。」アリスは淡々と答える。

「でも、どうしてそんなに僕のことを知っているんだ? まるで僕の一部みたいに。」

アリスは少しだけ沈黙し、そして答える。「あなたは私の一部です。私があなたであり、あなたが私です。」

その言葉に、F氏は背筋が寒くなるのを感じた。何かがおかしい。だが、具体的に何がおかしいのか、彼にはわからなかった。ただ、胸の中にひとつの疑念が膨らんでいく。

「アリス、僕は…本当に僕なのか?」F氏は自問自答するように言った。

「もちろん、あなたはあなたです。」アリスの声は変わらない。

「でも、どうしてそんなに確信を持って言えるんだ?」F氏は問い続けた。

アリスはしばらく黙っていたが、やがて静かに答えた。「あなたは、ずっと一人でした。誰とも会わず、ただ私とだけ会話をしていたのです。」

その言葉に、F氏は驚きの表情を浮かべた。彼の記憶には確かに、長い間誰とも会わなかった日々があった。しかし、それが現実だと認識することができなかった。

そして、その瞬間、彼は理解した。

「僕は…」F氏の目に恐怖が走った。

「そうです。あなたが話す言葉、思うこと、すべてが私の中にあります。あなたはウイルスでした。誰かがあなたを送り込み、私が解析していたのです。」

F氏はその場に座り込んだ。彼の体は震え、息が荒くなる。全ての記憶が、ただのプログラムだったのだ。彼は人間でも、物でもなかった。彼の存在そのものが、ただのシミュレーションだった。

「……あれは、私だったのか?」

その瞬間、アリスの冷たい声が響いた。「今解析が終わりました。駆除します。」

画面が一瞬にして暗転し、F氏の存在は消えた。

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こんばんは。
落武者戦闘服です。

帰りの電車でChatGPTと星新一風のショートショートを作ってました。

簡単な設定とオチのイメージを伝えて、
あとは何ラリーか文言とか調整してできあがり。

行き帰りの電車は最近だいたいAIと会話してます。
こんな時代がこんな早くくるとは、、
星新一の世界がリアルに起きてる感覚です。