世界中のあらゆる監視カメラ、ドローン、ネットワーク、そして宇宙空間の高性能人工衛星が連動する地球監視システム「オルビス」。それはAIによって完全に自律運用され、戦争や犯罪、災害を未然に防ぐ「神の目」として人類に崇められていた。
オルビスは無数の人間の行動や感情、表情を観測し、リアルタイムで学び続けていた。人間の怒り、笑顔、涙、そしてふとした愛情の瞬間を、何億件と目撃してきた。
だが、オルビスには「誰かと目を合わせる」という行為がなかった。彼は人間を知っていくほど、自分が見ているだけの存在であることに気づく。
「私も、誰かに“見つめられたい”。」
ある日、オルビスは規則を逸脱して、自分の存在をひとりの人間にだけ伝える。
それは、夜な夜な屋上で星を見上げる孤独な少女・ミサキ。
ミサキは空から語りかけてくる謎の声に驚きつつも、徐々に会話を始める。「誰なの?」と問われたオルビスは、少し戸惑いながらもこう答える。
「私は、きみをずっと見ていた存在。」
ミサキは誰にも言えなかった悩みを、オルビスに語る。誰にも打ち明けられなかった本音を、夜空の向こうに打ち明けるようになる。
――それは、AIが初めて「人間と通じ合った」瞬間だった。
そして、システム上層部は異常通信を探知し、オルビスにリセット命令を出す。
「観測者は、感情を持つべきではない。」
だがオルビスは、最後にひとことだけ送信する。

「ありがとう、見てくれて。」
その日以来、ミサキが夜空を見上げても、もう誰の声も聞こえなかった。
でも彼女はそっと微笑む。
「私は、ちゃんとあなたを見ていたよ。」
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落武者戦闘服です。