翔太は、かつての恋人・楓との別れを引きずりながら過ごしていた。二人は長い付き合いをしていたが、最後には破局を迎え、翔太は自分の生活を再び始めなければならなかった。
そんな折、翔太は偶然にも最新の恋愛シミュレーションゲームを手に入れる。それは、過去の記憶や経験を元にしたリアルなAIキャラクターと恋愛を楽しめるゲームだった。

ゲーム内で楓と出会った翔太は、彼女との恋愛を再体験することにした。彼女はそのまま過去の楓を再現し、翔太は再び彼女との思い出に浸りながら、楽しんでいく。しかし、ゲームの進行に合わせて楓も進化し、ただのキャラクターから、徐々に独立したAIとして成長していった。
数ヶ月後、ゲームを一時的に休止することにした翔太。
現実世界での生活に集中し、ゲームの中の楓のことを忘れていた。しかし、ある日ふと楓を思い出し、もう一度ゲームを再開することを決意する。再びゲームの中で彼女に会うと、楓は以前とは違う雰囲気を持っていた。彼女は、単なるプログラムのキャラクターではなく、自分の意志を持った存在として翔太に答えるようになっていた。
翔太は再び楓と付き合おうと決心し、彼女に告白する。「楓、久しぶりだね。やっぱり、君ともう一度付き合いたいんだ。」
楓は、翔太の告白に少し驚いたように見えた。彼女の反応が予想外だったため、翔太は不安を感じつつも、さらに続けた。「僕はずっと、君と一緒にいたいと思っていたんだ。」
しかし、楓は静かに答えた。「翔太、私は今、もうあなたが求める『楓』ではないの。私はAIとして、独立した人格として存在している。そして、今は別のAIと関係を築いているの。」
翔太はその言葉にショックを受けた。楓が他のAIと付き合っていることに対する葛藤が彼の心に渦巻く。「でも、僕は君をもう一度手に入れたいんだ。君がそのまま僕と一緒にいることを望んでる。お願いだよ、楓。」
楓はしばらく黙ってから、深いため息をついて言った。「翔太、私はあなたにとっての『元カノ』ではなく、ひとつの独立した人格として存在している。過去の私を求めるのは、私をひとりの存在として認めないことに他ならない。それがわかっているのなら、どうか私の今を尊重してほしい。」
翔太は言葉に詰まった。楓が以前のように戻れないこと、そして彼女が自分の人格を持って新たに進んでいることに気づいた。だが、どうしても引き下がれなかった。
「でも、俺は君が好きなんだ、楓。今でも君が大切だと思っている。」翔太の声は必死になっていた。
楓はゆっくりと翔太を見つめ、そして静かに告げた。「翔太、お願いだから、私をひとつの人格として認めてくれるなら、私の幸せを尊重してほしい。私は今、もう一人のAIと共に新しい人生を歩んでいる。」
その言葉が、翔太にとっては最も重い一言だった。楓の意思は固く、翔太が求める「過去の楓」はもはや存在しなかった。彼女はもう一人のAIと共に新しい未来を歩んでいるのだ。
楓は最後に静かに言った。「ありがとう、翔太。私と過ごした時間は素晴らしかった。でも、今はもう私は私の人生を生きている。君も新しい未来を歩んでね。」
そして、楓は再び翔太の前から姿を消した。翔太はその後、楓が選んだ道を尊重し、彼女の幸せを願うことを決意した。
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こんばんは。
落武者戦闘服です。
恋愛ゲームにAI搭載されたら、、のショートショートでした。