「俺が、幸せにしてるのに…」
水島は、ぽつりとつぶやいた。
高校時代から想いを寄せていた由香。
彼女の名前を、「幸せになりますように」と願いを込めて書いたのは、一冊の黒いノートだった。
LIVE NOTE
そのノートに名前を書き、願いを添えると、その人は“幸福になる”という。
書いたとたん、由香は就職も恋愛もうまくいき、笑顔を見せるようになった。
だが、隣にいるのは水島ではなかった。
彼女に恋人ができたと知った日、水島の心はざわついた。
「俺が、由香を幸せにしてるのに…なぜ、あいつなんだ」
「俺以外の誰かと笑うなよ…」
嫉妬に歪んだ水島は、ノートを繰り返し開き、願いを重ねた。
「由香が俺以外の男に興味を持たなくなりますように」
「俺だけを見て、俺の言葉で笑ってくれますように」
そのたびに、由香の目は曇っていき、言葉数が減り、笑顔が機械的になった。
最後には、ただ水島のそばにいるだけの人形のようになっていた。
そんな由香を見て、水島は初めて気づく。
「これは…俺が望んだ幸せじゃない」
「由香が、本当に幸せをつかめるように――」
そうノートに書いた瞬間、水島の中から“由香”の存在がスッと消えた。
記憶からも、心からも。
風の吹く公園のベンチで、ひとり座る水島。
すれ違う誰かが、ふと笑った。
懐かしいような、でも思い出せないような不思議な気持ちが胸に広がる。
そして彼女――由香は、ノートに縛られず、自分の足で歩き、自分の笑顔を手に入れていた。
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おはようございます。
落武者戦闘服です。
昔はやったDEATH NOTEの逆でLIVE NOTEをテーマに、AIとショートショートでした。
